「作品 樹より」2004 44×33 尾花成春

2004(78歳)
もう一つ越えたい山がある。
しかし、その山が見えない。
見えさえすれば一合目、二合目まででも登れるのだが、全く見えない。
とりつくしまがない。

絵画の道、それは終わりなき道だとはわかっていながら、その道に踏み入ることも出来ない。

苦しい。

死の寸前まで充実した制作をしたい。
ひとりで苦しい、悲しいと叫ぶ。
その感情が絵に向けばいいのだ。

「色量位相」2002 49×36 尾花成春

2002.11 (76歳)
昨今の仕事を「色量」という事に位置づけている。
色面だけの作品を描き続けたが、それは何故か?と考えた。
それが「色量」という言葉。
キャンバスの内だけのものではなく、色量と外界(精神)との関係にあること。

「色量妙想」

色量という考えからすれば、それがどのような色であれ、色自体は意味を持たない。
その事がいいのだ。私に仕事をさせる。

「野」1973 F60 尾花成春

1964.9.26
前衛運動というデモンストレーションの時代は終わった。
一人一人の作家が再び”個”に帰るときが来たようだ。
九州派もようやく解散の時期が自然に来たような気がする。
これ以上グループを続けるということは、華々しかった運動への未練だけで、それからはもう何も生まれてこないということだ。

「作品 野より」1965 尾花成春

 

1964.6.14 (39歳)

茫漠たる野
果てしない野
心の中の野

私の絵画の中で探し求めていた野
混沌としたリズムが一つになって、果てしなく消える時
いくつものカタチが一つになって消えること

私はやっと今日、それがつかめたような気がする